# 創作練習
 怪談のアイデアを30分出し、そのうちの1つを1時間以内に書く、という練習をした。

【001】 ごみ捨て。いつも深夜に捨てている。管理会社に注意されたので朝捨てることに。 朝捨てるとゴミ捨て場に手書きの張り紙。「なぜこない」と書かれている。 毎週木曜日に必ず張り紙がある。毎週手書きの字が異なる。 ある日必要があってまた夜にゴミを出した。翌日の朝の張り紙は「きてくれてありがとう」の字。 はっと後ろを振り返ると先週捨てた自分のゴミ袋を持って笑っている女性が手を振っていた。 その月のうちに引っ越して逃げた。
【002】 学校の帰り道。イヤホンをして音楽を聴いているといつも特定の道で音がブツブツとノイズが混じる。 ある日友人と一緒に帰るために、イヤホンをつけずにその道を歩いていると、イヤホンをしていないのにブツブツとノイズ音が聞こえる。 え? っと思った瞬間友人が自分の頭上を見て叫んだ。 見上げると空から長い長い首が自分のすぐそばまで下りてきて、恐ろしい老人の顔が自分に向かってノイズ音を呟いていた。 必死に走って家まで逃げて、二度とその道は使わなかった。
【003】 主人公が高校生だった頃の話。主人公の家の庭には必ずテントが張られている。中身はなにもない。テントが傷んでくると両親が張り替える。 理由を聞いても教えてくれない。テントを張る作業も手伝わせてくれない。 ある夜、こっそり庭に出てテントで寝てみようと思ってテントのジッパーを開いたら、中にはみっしりと黒い毛が詰まっていて、濃いシャンプーの臭いが漂い、呼吸するように膨らみ縮んでいた。 ぞっとしてあわてて家に入ろうとしたら、両親が揃って立って、家の中から無表情にこちらを見つめていた。 両親にあれは何かと聞くと「お祖父ちゃんだよ」と言われた。それ以外なにも言わない。 翌日からは何事もなく普通の両親に戻っていたが、テントだけは絶対に仕舞ってくれなかった。 主人公はそろそろ1人ぐらしをする予定だが、両親からお前がテントを張る番だと言われないか不安になっている。
【004】 ある日わたしが家に帰ると玄関のドアにカマキリがセロテープで貼りつけられていた。生きたままのカマキリは元気がないのかあまり動いていなかった。 剥がしてその辺りの地面に逃がしたが、翌日も生きたカマキリが貼ってあった。剥がすまえに写真を撮り、管理会社に連絡をして監視カメラの映像を確認してもらった。 映像にはカマキリを貼りつけている謎の男性が写っていた。まったく知り合いではない。 男性は下半身が裸で、お尻から長いなにかを引きずっていた。 映像を警察に渡した翌日、またドアにカマキリが貼りつけられていた。ハリガネムシが半分飛び出て死んでいた。 また監視カメラの映像を見たら、同じ男性が写っていたが、お尻から引きずっていた黒いヒモのような何かが何十本にも増えていた。 男性はすぐに捕まったが、なぜそんなことをしていたのかまったく記憶がなかったらしい。住所も隣の県で近隣の住民ではなかったとのこと。 わたしは最近お腹が痛くて困っている。
 5分くらいオーバーしてしまったが4つ出た。  うち、001を採用して書いてみた。
 Aさんは在宅勤務のデザイナー。朝が弱く、仕事も時間に縛られないので、日々のごみ捨ては朝ではなく前日の夜に行っていた。  夜ということもあってできるだけ音を立てずに捨てていたのだが、「深夜にゴミ捨て場でうるさい人がいる」とクレームが入ったらしく、管理会社から注意されてしまった。  うるさくしていたつもりはなかったが、近隣住民とのトラブルを避けるため、ごみ捨てだけはなんとか朝に行くようになった。  燃えるゴミの日の木曜日、眠い目をこすって朝のゴミ捨て場に行くと、手書きの張り紙を見つけた。大きな文字で「たりません」と書いてある。  管理会社の署名もなく、子供の落書きのような汚い字だった。以前はこんな張り紙はなかった。首をひねりながらもAさんは無視してゴミを捨て、部屋に戻ったという。  それから毎週木曜日になると、かならずゴミ捨て場に手書きの張り紙が貼られるようになった。書かれているメッセージは常に「たりません」の一言だが、毎度文字が違うので毎週新しく貼りかえていると分かった。張り紙の意味は分からないが、なんとなく不気味さを感じていた。  ある日、珍しく午前の早い時間に通話会議の予定が入ってしまったAさんは、ごみ捨ての時間が取れなさそうなことに気づいた。いつもよりさらに早起きするのはさすがに苦しいと感じたので、久しぶりに前日の夜に燃えるゴミを出すことにした。  翌々日、金曜日の朝に資源ごみを出しにきたAさんは、ゴミ捨て場のいつもの張り紙をなんとなく見た。張り紙にはいつもと違うメッセージが書いてあった。 「たりました」  視線を感じ、ハッと振り返ると、向かいの一軒家の玄関にやたらと背の高いエプロン姿の女性が立っていた。右手に持っていた大きなゴミ袋をAさんに見せるように持ち上げて、満面の笑顔でAさんを見つめていた。  Aさんは薄気味わるい気持ちで部屋に戻った。あれは誰だったのだろう。近所に住んでいる人とはとても思えなかった。そう思ってあれこれ想像していたAさんは、あのゴミ袋が前の夜に捨てた自分のゴミだったような気がしてきて、もはやそうとしか思えなくなってしまった。  結局Aさんは頼み込んでしばらく友人の家に泊めてもらい、住んでいたアパートを2週間後に引き払ったそうだ。
 所要時間:30分 良い点 - 1時間以内で書き終わった - 話の筋として違和感が少ない - ひとこわなのか怪異なのか分からない余地を残せた いまいちな点 - 「たりません」は話の筋が見えすぎる。もっと分からなくて気持ちわるい言いまわしを考える努力をしよう - 女性の怖さを与えるためのビジュアルが「やたらと背の高い」しかなくて味が薄い。もっと盛るべき - 木曜、金曜のあたりの時系列がややこい。もっとシンプルな行動順序を考えたほうがいい - 自分のゴミがパクられてる怖さはインパクトが弱いのでもっと気持ち悪い行動にすべき。捨てたはずの服を着てるとか。 - そもそも怖い存在が女性である必然性があっただろうか?